日本とパラグアイにおける、国代表のリレーに対する意識の違い

2019/2/26の記録

 

昨年関わったリレーが国内記録を大幅に更新したこともあって今年もナショナルチームのリレー指導に関わることになりました。でも、リレー練習をする上でのほぼ全ての作業をほかの指導者が終わらせているのにカウンターパートが最後の手続きをしないから未だに練習を始められない状況にあります。カウンターパートは少し代表リレーに対して消極的、といったところでしょうか。

リレーに限らず、活動をしている中で思ったように進まないこともたくさんあります。今回はリレーの件でプロジェクトが進んでいませんが、日本とは違ってパラグアイでは多くのことが提案だけで終わってしまいます。提案というかアイデアがポッと出た段階でその後につながりません。

今回はカウンターパートが悪いというよりも

  • 指導者同士で目指す目標に対する共通認識がないこと
  • 選手のリレーに対する熱意がそもそもないこと

が原因だと思います。

 

 

正直、5月末にある南米大会に向けて2月上旬から練習を開始する必要性はないと思います。パラグアイの練習体系を見るとどうしてもリレー練習のたびに各チームから代表選手がグループの練習を離れてリレーの練習だけをするのは難しい。各指導者も選手の練習プランを考えているので、リレーで練習が計画通りに行われないと誰が自分の選手の責任を持つんだ?という感じでしょうか。また、そもそも指導者と選手の間でリレーに対する熱意の差があります。提案が出た段階では指導者の一部ではやる気満々、選手の間ではリレーは出たくないという状況でした。

 

 

日本ではリレーの選手に選ばれるというのは結構光栄なことだと思います。日本にはリレーの文化があるし試合ごとの各学校の盛り上がりもあるので、リレーは「楽しいもの」という認識があります。各学校によってレベルは違うものの、弱い学校でもみんなで頑張ったという勝利至上主義ではない、まさしく青春という言葉が当てはまるような競技です。まして日本代表のリレーであれば国を背負って戦うことができます。日本のリレーに関しては多くの競技者のレベルが上がり、もはや代表に入りたくても簡単に入れる状況がなくなってしまいました。

一方パラグアイはというと、代表のリレーは個人競技に支障が出る「余計なもの」という認識があるように思います。これは実際選手と話をしてわかったのですが、例えば南米大会のリレーでもしもメダルを取ることができたら選手たちに対して補助金が出るらしいのです。でもメダルを取ることが出なければそのサポートはない。メダルを取れる可能性がないのにリレーに出たら個人種目にも支障が出て、個人種目でいいパフォーマンスができない、といった理屈です。つまり「リレーはお金が出るんだったらやる」です。これも日本ではなかなか考えられませんね。

 

 

でもこのような発想になるのも文化や経済状況の違いから来ているのだと思います。パラグアイにはそもそもリレー文化がありません。だから今ある知識を駆使して練習してもリレーのバトンパスなどの技術的要素が改善して記録が伸びる可能性が極めて低い、そして技術を指導できる指導者がいないというのも問題です。つまりリレーの記録は選手の個の力次第、ということになります。日本はこの力+リレーの技術で戦っています。パラグアイは個の力次第なのです。これは非常にもったいないです。

また、首都の選手はほかの地域よりも経済的には豊かだとは思いますが、それでもお金がないと言います。サプリメントやマッサージ等のケアにお金を使っていますが、それも陸上のためになんとかお金を使おう、といった状況です。つまりそれだけパラグアイのレベルの高い選手は陸上に懸けているとも言えます(その覚悟の仕方や行動、態度の質は別として)。なので、今回のリレーの件であれば、メダル、つまりお金をもらえる可能性が低い種目よりもメダルが狙えそうな個人種目、つまりお金が貰えるほうをがんばる、となります。

 

 

個人的にはリレーにも果敢に挑戦してほしいと思っています。というのはぼく自身はパラグアイのリレーはまだ技術的に不完全だから、しっかりとリレーの技術を習得できれば南米大会でメダルを狙える可能性は十分あると思うからです。また、リレーでメダルを取れるくらいになれば、それを指導した指導者も自身がつきます。国代表のリレーにはあまり熱のない選手ですが、子どもたちが運動会でするようなリレーをするとものすごく盛り上がるんですよね。そういうのを見ると、別にリレーという競技に魅力がないわけではなく、指導者や選手の意識や考え方に問題があるように感じるのです。

 

 

南米大会でメダルを狙うというのはなかなか難しいこと。

日本も世界大会では短距離の個人種目でメダルを狙うのは本当に難しいことだけど、リレーでは世界で堂々と戦うことができます。そのような「世界(大舞台)で戦う」という経験で成功体験を積むことができたら、この経験が絶対にパラグアイの陸上競技文化にプラスに働くと思っています。

大舞台で戦える状況を作る、そういった環境・雰囲気作りも陸上協会の仕事だと思います。

 

2017年9月から南米パラグアイで青年海外協力隊の陸上競技隊員として活動中。大学ではスポーツを専攻。日本でコーチング後、パラグアイでナショナルレベルまでの選手の育成強化・競技の普及活動、及び小学校体育教育を行っている。
趣味はカメラとトレーニング。ブログとSNSの更新頻度は多め。

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2017年9月から南米パラグアイで青年海外協力隊の陸上競技隊員として活動中。大学ではスポーツを専攻。日本でコーチング後、パラグアイでナショナルレベルまでの選手の育成強化・競技の普及活動、及び小学校体育教育を行っている。 趣味はカメラとトレーニング。ブログとSNSの更新頻度は多め。