さかのぼること3月10日。
本来そこでシーズン初戦を迎えるはずだった選手たちだけど、直前になって試合に出場しないことを告げられた。
以降、試合に行くと言われては行かないを繰り返し続けられ、一体どうやってこれから指導を進めていけばいいのかわからなくなっていた。
だって、練習って試合のためにやるのに、結局いつ試合に出場するのかわからなかったから。
子どもも楽しみにしている試合なのに、試合の直前になるたびに「やっぱ試合に行かない」となると、それはまぁ、モチベーションは下がるよね。
でも、ようやく、ようやく。
来たる4月29日、任地の選手たちが出場できる試合がある。
長かった。。。
今まで開催されていた試合は首都で行われていたため、移動手段と資金がない田舎の子どもたちは参加することができなかった。
でも、今回は隣町で行われるのでみんな参加できるというわけ。
今回の大会は全国大会のための地区予選らしい。
日本の高校総体と同じような感じのシステムだ。
この大会にはぼくが指導しているクラブの子どもたちと学校巡回で教えている中学高校の子どもたちも参加する。
陸上競技人口が少ないこの国で、陸上を専門としていない子どもたちも出場して少しでも盛り上がればいいなという期待がある。
正直、かなりレベルは低いと思う。
なぜなら、任地の子どもたちに教えるといっても普段継続して練習できている選手はほんの数人だから。
ほとんどの子どもたちは学校や仕事で参加できないというのが現状で、なかなかこの状況を変えるのは正直難しいと思っている。
(とは言いつつも、実際暇な時間めちゃくちゃあると思うんだけどね。。)
もう、それはしょうがないかなって。
みんながみんな陸上に打ち込む必要なんてないと思うし、仕事の気晴らしとか、友だちと一緒に楽しくやりたいという理由でもいいと思う。
大切なのは、試合にお祭り感があって、陸上を楽しんで、「いや~楽しかった!」と思えることだ。
だって、楽しいが人を突き動かすから。
この試合を通して楽しいを感じて、陸上を少しでも好きになってくれる人が増えればいい。
それだけでいいのだ。
日本の部活動のような「勝利に向かって」という雰囲気をほとんど感じない。
だから、きっと日本の部活動で一生懸命やってきた選手がこの国の練習とか試合を見たら、きっと愕然とすると思う。
動いているのは動いているけど、動いているだけで練習になってないし、継続もできないし、すぐあきらめるし。
イライラすると思う(笑)
でも、彼らには彼らなりの頑張り方や楽しみ方があって、それがこの国のスタンダード、
日本とは全然違うことに戸惑うことが多かったぼくだけど、ようやくこの国の選手の陸上に対する考え方がわかってきた。
だから今、思うようにいかないことを受け入れることができている。
受け入れることができたからこそ、今の状況の中で楽しい陸上競技が彼らには必要だなって思った。
もちろん上位に入らなければ次のラウンドはきっとないのだろうけど、それでもいいのだ。
陸上競技を通して、仲間と何かをすることを通して、応援することを通して、悔しいと思うことを通して、全部ひっくるめて何か感じてもらえれば、ぼくが今までやってきたことが報われると思ってる。
最近になってより一生懸命に練習に来る子どもたちが増えて嬉しい。そんな子どもたちには結果も求めてほしい。
逆に、別に全然来ないけど試合は来るという人もいると思う。そういう人も、陸上競技でリフレッシュしてもらえればと思ってる。
しつこいようだけど、もうなんでもいいのだ。
みんな楽しければそれでいいのだ。
日本で培ってきた指導法とか考え方とか、そういうのがあまり通じないということがわかって、ここの陸上競技文化もなんとなく理解して。だから、ぼくは楽しみだ。
今までは練習に来ない子どもたちにイライラしていた。でももうそんなことすらどうでもいい。
動くことが楽しいと感じてくれたら嬉しいし、そこからさらにもっと強くなりたいと思ってくれたらばんばんざいだけど、きっとそこまではうまくいかない。
3月10日の試合ないです宣言から約50日。
嘘ばっかりで疲れ果てて、もうイライラすることばかりだったけど、それも必要な時期だったのかもしれない。
試合の計画を立てては踏みにじられ、指導する時間も搾取され、練習機会が少なくなったところにさらに選手は来ない。
一方でぼくは首都で自分の試合に出たり、いろいろな地域やレベルの選手や指導者とコンタクトを取ったり、任地で国のトップレベルの選手を育てたり。
辛い50日だったけど、その分得たものも大きい。
きっと、また試合当日にハプニングがある。
もうそれもしょうがない。
なるようにしか結局ならないから。
自分が今できることに集中したり、あるいは選手を応援したりサポートしたり。
振り回されること前提で、自分主体で楽しもうと思う。

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