選手の怪我から考える、指導者が「選手への期待値を下げる」ことの重要性

 

試合直前、選手が怪我をしてしまった。

 

カウンターパートからはこの日に試合に出るということを指定されていたため、その日に力を出せるように調整していた最終段階でのできごとだった。

そして怪我をした次の日、というか試合日の直前、カウンターパートから「試合には出場しない」ということを告げられた。

 

 

試合に出場しないことなんて、きっと以前から分かっていたはずだ。

でも、正直どうでもいいのだろう。選手のことなんて。

ぼくもまだその告知をされる前は試合に出場するものだと思っていたから、その試合で今のベストパフォーマンスができるように調整してきた。

選手も出場する気があった。ようやくぼくと選手の関係性がよくなってきたところだったのに。。

本当は試合に出場しないことがあらかじめわかっていたなら、もっとじっくりとその選手の練習を組み立てていたのに。。

だから、もうぼくは信用しないことにした。

 

「行く、行く」と何度嘘をつかれ、何度選手を振り回したか。心が痛む。

 

怪我をしたのはぼくのミスでもある。

もっとコミュニケーションをとるべきだったと思う。要は、ぼくは選手のことをまだ知らなかったということだ。

ぼくの選手に対する前提条件が間違っていた。いい選手ならちゃんとした生活を送っているだろう、という勝手な妄想が今回の怪我につながった。

パラグアイには競技力の高い選手はいるけど、競技者としての意識が高い選手は非常に少ないように感じる。

日本人選手はそこのところがしっかりしているな、と強く思う。ただ、神経質すぎる面もあるが。。

ありとあらゆる準備を普段からしっかりとし、試合の時は何も考えずに爆発するだけ。それが日本人にはできる。

でも、パラグアイ人にはできない。

 

 

いい人であることと競技者としていい人はまるで違う。

パラグアイ人は本当に陽気で優しいけど、やはり国の競技レベルの低さの一因は「競技者になりきれていないから」だと思っている。

 

 

今回の怪我の件で、もっと選手に対する期待値を落とす必要があると感じた。

ぼくの任地は前任者が活動していたため、競技力を向上させるために必要なことを理解しているものだと思っていた。

実際、前任者は教えたのかもしれない。

でも、現実はそうじゃない。できていない。

もっともっと、基礎から、基礎の基礎から教える必要がある。

 

 

正直、全然怪我をするようなメニューじゃなかったからこそ、今回の件は衝撃的だった。

なんで試合が近いのに悪い生活習慣を送っているのかという苛立ちも少しあった。

でも、それでも期待値を下げてでも教える必要があると思えているぼくの気持ちは、まだ、選手たちを捨てていない。

だから、まだやれる。

 

 

寝る時間や食べるものなんてぼくがコントロールできるものではない。

だけど、基礎の基礎から学んでいく中で、選手がもっと成長したいと思ってくれればそれでいい。

日本の選手が当たり前のようにできることが、この国の選手はほぼできない。だからこそ、少しでもできたらそれでいいのだ。

期待値を上げすぎないことが、ぼくにとっても選手にとっても負担にならないのだと思う。

 

ここの国の文化はこうだから選手が弱い、ではなく、改めて個人個人を知る必要があると感じた。

 

ぼく自身も、今回の件で途上国の選手を育成するときに気をつけるべき点を少し理解できた。

 

  • カウンターパートが言った試合にはどうせ出ないのだから、確実に試合に出場するところを把握して、それに向けて練習する。
  • 期待値を上げすぎない。
  • できないこと、わからないことを前提で進める。

 

相手は日本人じゃない。

いくら競技力があっても日本人のような感覚で競技をしているわけではない。

だから、もっとその人、その環境にあった指導が必要。その選手を知ることが必要。

それを今回学ぶことができた。

だから、同じ失敗は繰り返さない。

毎日学ぶことに終わりはない。

 

2017年9月から南米パラグアイで青年海外協力隊の陸上競技隊員として活動中。大学ではスポーツを専攻。日本でコーチング後、パラグアイでナショナルレベルまでの選手の育成強化・競技の普及活動、及び小学校体育教育を行っている。
趣味はカメラとトレーニング。ブログとSNSの更新頻度は多め。

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2017年9月から南米パラグアイで青年海外協力隊の陸上競技隊員として活動中。大学ではスポーツを専攻。日本でコーチング後、パラグアイでナショナルレベルまでの選手の育成強化・競技の普及活動、及び小学校体育教育を行っている。 趣味はカメラとトレーニング。ブログとSNSの更新頻度は多め。