ぼくが赴任した当初は150mでさえ長いと言って抗議していた14歳の女の子。
最近は練習に来ればしっかり走るようになった。もちろん長い距離は嫌みたいだけど、ちょっとだけ彼女の中に変化が起きたのだと思う。 pic.twitter.com/Yw6vwlY8FN
— 大村康太@パラグアイ🇵🇾 (@KotaOhmura) 2018年4月6日
いい変化だなって。
そう思う。人ひとりの人間的な成長がこんなに嬉しいなんてね。弱くても、こういう子はサポートしたい。
こういうことができる子は宝だと思う。そんな宝を雑に扱っちゃもったいない。こういう原石を集中して見てあげる、それが陸上競技の発展に繋がるのだと思う。
— 大村康太@パラグアイ🇵🇾 (@KotaOhmura) 2018年4月6日
ぼくが赴任した当初は全然走ろうとしなかった彼女。
アップのためにグラウンド2週走ってきて、と言ってもチンタラ走る。
はっきり言って練習じゃなかった。
14歳という子供だからしょうがないのかもしれないといえばそこまでかもしれない。
だから、赴任した時の練習を見て驚いた。
前任者がいたとき、一体どんな練習をしていたのだろう?
そう思ってしまった。
前任者が活動したあとの後任として派遣されたから、すごく形になっていると思っていた。
だから「??」ってなった。
全然走れていないから。
後で前任の方から話を聞いたところ、目に見えないくらいの変化で活動していたということだった。
それを聞いて、スポーツ職種の活動は実は難しいのだな、と。
教えるだけでは解決できない問題があって、変わらない状況があって。
日本とは環境が違うからこそ、大きく変えることなんてできない、そう思った。
しばらく試行錯誤してきて、最近ようやく練習に来てくれるようになった。
前は長い距離(実際は長くない)の時は「短くしてよ~」と抗議してきて。。
「明日練習行くよ!」と言っても来なかったり。
そんな彼女が最近練習に来る。
そして、一生懸命練習している。
それだけでない。
任地に来て6ヶ月目。初めて「事前の欠席連絡」を彼女から受けた。
びっくり。
本当にびっくりした。
正直、週5日の練習の中で毎日練習に来ることができない状況。
ぼくも陸上競技の活動がメインなのに、カウンターパートによって選手の練習を見る時間帯に強制的に予定を入れられるから、さらに練習を見る機会が限定されている。
だから、日本の部活動のように毎日練習に参加することもできなければ、ぼくが毎日技術指導することできない。
きっとトップを目指せるような選手ではないと思う。
それでもね。
トップを目指せなくてもいいんだ。
みんながトップになることはできないし、陸上競技はトップになることだけが全てじゃないから。
それよりも大切なこと、あるから。
走りたいと思わなかった状態からちょっと頑張ってみようかなと思うようになったのは、ちょっとした「心の成長」。
平気で嘘ついて休んでいた状態から報告して休むようになったのは、ちょっとした「人を思いやる気持ちの成長」。
きっと、競技面以外の成長が競技につながると思う。
競技にもっと向き合えるようになるから。
自分に向き合えるようになるから。
そんな小さな彼女の大きな成長が嬉しい。
たった一人だけ、一人だけだけど、こうやって成長した。
そんな成長した彼女、成長している途中の彼女をサポートしたい。
競技の良し悪しだけじゃない。
それだけが競技をする上の才能じゃないから。
小さなステップを踏み出していい方向に変わりつつある彼女は、間違いなく宝。
原石なんです。
そんな原石をね、ちっちゃな原石1個だけだけど、それを磨いていくのがパラグアイの陸上競技の発展につながると思ってる。
今、カウンターパートの方針がなんとなくクラブの選手を適当に見る、みたいな印象を受けている。
それがすごく残念で。
ぼくが赴任して6ヶ月でようやく見えた小さな、大きな変化。
それを大切にしたい。
いや、大切にしないといけないと思う。
普及だ、タレント探しだ、と言って、今いる選手を疎かにするカウンターパートのやり方には疑問がある。
だからと言って、ぼくはそれにハイハイと従うはずがない。
ぼくは、ぼくの目の前にいる、6ヶ月かかってようやく心開いてくれたたった一人の選手を大切にしたい。

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