選手から「コーチ変えたい」という相談を受けた。本人は関係性を崩したくないからできれば変えたくないらしいけど、理由は選手が連絡してもコーチのレスポンスが遅いのと練習をあまり見てくれないからみたい。
はい変えてください、なんて軽く言える問題ではないから、しっかりと考え方を伝授した。
— 大村康太@パラグアイ🇵🇾 (@KotaOhmura) 2018年11月17日
ツイートの通りです。
先日、女子の100mでパラグアイ記録を更新した選手が、今のコーチに少し不満があるようで、コーチを変えたいという相談を受けました。
Whatsup経由での相談でしたが、文面を見ると今までの不満がちょっとだけ爆発した感じ。
抑えきれないほど感情が爆発したわけではないけど、彼女なりに思うところがあったのだと思います。
以下、その会話。
ぼく:明日練習するの?
選手:わからない。コーチに連絡とったけど返信がないから。もしコーチのこの状況が変わらなかったら、違うコーチを探すわ。
ぼく:え(;・∀・)!?
選手:いつもコーチはわたしの練習を見に来ないし、メッセージを送っても返信がないわ。この件についてコーチと話そうと思うけど、もし改善がなかったら違うコーチを探さないと。
いっっっつもコーチいないから、自分ひとりで練習しないといけない。そんな状況だとわたしの技術を直してくれる人がいないから、あまりいい練習ができないし、記録も向上しないし。わたしはもっと速く走りたいの。
ぼく:きみとコーチの関係性を詳しく知っているわけではないけど、いまは大学の試験の時期だから、コーチは忙しいだけじゃないの?
選手:でも、それずっと。だからわたし、怒ってるの。
ぼく:あ~。それじゃあ1回コーチと話したほうがいいね。
選手:いつもコーチは厳しい(褒めてくれない)し、詳しく教えてくれない。だから、教えてもらっても全然練習の意味を理解できないの。
だって、コーチは午前中だけ練習を見たいから。わたしは午前中に大学があるのに。だから、こーたがいないといつも午後はわたしひとりでやらないといけないの。
ぼく:ふーん。まだ鍛錬期はじまったばかりだからコーチとまずは話をすることが必要だね。だってもしずっと何かに不安や不満を持っていたら、十分な練習はできないし、効果も半減するよね。だって集中できないから。
選手:いつもわたしの練習を見てほしいって電話をかけるけど、電話に出るといつも少し怒ってる。そんなのだと成長できない。だから午後わたしが練習する時間に練習を見れるコーチを探そうかな~って。
でも、とりあえず明日コーチと話してみる。それでもし今の状況が改善できなかったら、別のコーチを探したほうがいいと思う。
でもね、本当はコーチを変えたくない。だけど、このままの状況も続けたくない。
ぼく:ぼくが見れるときは練習見てあげるから、急いで別のコーチを探す必要はないよ。だって、もし違うコーチに見てもらうことにしたら、そのコーチと合わなかったときにもう一回変えるのは難しいからね。
選手:わかってる。いまわたしはこーたと一緒に練習してるけど、コーチは”何も”してくれない。いつもコーチはこーたにお願いしてる。だって、彼は何もしたくないから。
ぼく:コーチを変えるのは問題ないよ。でも、正直言ってパラグアイには知識と教える技術のあるコーチはいないよ?だからこそ、きみもゆっくり、しっかり考えないといけないわけですよ。まだ、答えを出すのに焦る必要は全然ないと思うよ。
選手:うん。
ぼく:もしコーチを変えるんだったら、「コーチ①」か「コーチ②」の2人だけかなぁ。
選手:できれば変えたくないけど、もしよくならなかったら「コーチ③」にお願いしてみるわ。
「コーチ②」は嫌!だっていつもほかの人のことを悪く言うから。「コーチ③」はいつも練習を見てるからいいと思う。
ぼく:確かに、人のことを悪く言うのはよくないね。
選手:そうそう。でも、コーチは変えないと思うわ。変えるのは最終手段。
ぼく:わかった。今ね、ぼくはきみを指導して、陸上競技を教えてるよね。でもぼくがより教えたいことって、きみのそばに誰もいないときに「考える」ことだよ。
選手:うん。わたし、こーたから全部学びたい!でも、こーたは日本に戻るでしょ(´・ω・)
ぼく:きみにコーチが必要っていう考えは理解したよ。でもね、きみの競技生活だよ?だから、きみも自分の競技人生に責任をもつべきだよ。わかるかな?
競技をする人はコーチじゃなくて、きみだからね。
選手:うん。
ぼく:もしあるコーチがきみを指導しても記録が向上しなかったとき、コーチを責めることはできないからね。いや、責めることはできるけど、そうしてもそれまでの時間は帰ってこないからね。
だからぼくは自分の競技人生を自分で作れるように指導しているわけですよ。
選手:でも、コーチが教える技術ってちょっと古いと思う。コーチはわたしにあまりよくない技術をけっこう教えてると思う。
ぼく:全部の技術が古いわけではないよ。問題は指導方法だって。
きみが言いたいことはだいたい理解した。たぶん、いまぼくが教えて記録が向上したから、ときどきぼくとコーチを比較してるでしょ?それでたぶんだけど、コーチのことをあまりよく思わないことも時々あると思うんだ。でもね、きみもポジティブに考えないといけないよ?
2人分のコーチのアイデアについて考えることができるし、それを比較することだってできる。そして、より情報を得ることができるよね?
選手:ありがとう、こーた!
ながーいけど、こんなことを話しました。
選手の話を見ても、ちょっと不満が溢れてるから気が動転してるというか、結局どうしたいのかわからない感じですよね。
いや、わかるんです。一生懸命練習したい選手ほどコーチにしっかり見てもらいたいっていう欲。
コーチも選手と契約を結んでいる以上、毎日じゃなくても練習を見たり選手の問いに答えたりする義務はあると思います。
でも、話の中で出ましたが、選手自身も自分の競技人生についてもっと主体的にならないといけないと思います。頼りっきりは相手への過剰な期待に変わってしまうからです。
ぼくがこの選手となかよくなっていろいろ話をするようになったからこそ浮かび上がってきた問題。
ということはぼくも関係者。だから、いい方向に進めるように導いてあげたいと思っています。
ぼく自身、話の内容を見てもネガティブな内容にもっていきたくないので、ポジティブな話にもっていっています。
ぼくが大切にしている「メンタル」へのアプローチ。
ネガティブに考えたら、いつまでも気持ちがモヤモヤしてるじゃないですか。
嫌なんですよ、そういうの。
でも、この会話をきっかけに、たとえ一時的に辛い時期があるとしても、陸上競技や自分の競技人生についてよく考える機会になるならそれはそれでいいかなと思います。
本人は辛いだろうけど。
でも、成長するには乗り越えないといけない壁があります。
ぼくにそういう悩みを打ち明けてくれたことがうれしかったけど、彼女がよりよい環境で陸上競技ができるように、ぼくもサポートしないといけないという責任は感じています。
ぼくも辛い時期があった時に助けてもらいました。
だから、今度はぼくの番です。

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