不発だった高地ボリビアでの100mと周囲からの過度なプレッシャー

2019/6/24の記録

 

 

南米大会終了後、指導する選手が前半シーズン最後の試合に出場しました。高地ボリビアでの試合は空気抵抗が少なくて記録が出やすい条件ですが、11秒台を狙った100mでは12秒13に終わりました。

12秒13は自己ベストタイ記録ですが、高地での記録としてはかなり今一つな印象。先日したツイートにも「記録が出て11秒98くらい」と書いていたので、風の助けがあっても12秒切るくらいの走りしかできませんでした。

 

 

これは南米大会前の牽引走での負荷と南米大会での足の違和感でいい練習を継続してできなかったこと、そしてそれによるメンタルの不安定さが原因だと考えられます。

 

 

11秒台で走る力があってもそれを意識してしまうとなかなか走ることができないのはすごく分かるんですよね。ぼくも競技者として走幅跳で7mを跳ぶことを目標としていた時期は7mに近づいたところで全然記録を伸ばすことができませんでした。それは紛れもなく意識しすぎていたこと、そして自分で自分に勝手にプレッシャーをかけていたことが原因です。

今回は彼女の「11秒台で走りたい!」という自分自身の期待、そしてその期待とは裏腹に思うように継続して練習できなかった事実に加えて、周囲からの過剰な期待が彼女ののびのびとした走りを失わせてしまいました。

これの前の試合でも11秒台を意識してしまって本来の走りができませんでした。

 

 

 

 

特に周囲からのプレッシャーはぼくも感じていました。正直選手が気の毒でした。

なんの根拠もないのに無責任に「記録が出るぞ!」というものだから、たとえ選手がいい練習ができていなくてもその記録を意識せざるを得ません。

彼女は確かにパラグアイで一番力がある選手。どの指導者もそう思っています。でも、どのような練習をしているか、また彼女自身がどのような状況にあるのかも知らないでそのような軽々しい無責任な応援は選手の人生を潰してしまう可能性さえあります。

あまり言いたくはありませんが、パラグアイの指導者は非常に短絡的。選手は指導者の名声を得るためのものではありません。11秒7が出るぞって出るはずないし「は?」って思いましたよね。

 

 

今回の試合は

  • 12秒13(自己ベストタイ)
  • 25秒12(自己ベスト)

だったので結果だけ見れば力を出せたように見えますが、彼女自身はかなり苦しかったと思います。それはボリビアでの試合が終わったあとに彼女自身が「少し休みたい」「競技場に顔を出したくない」と言っていたことからも考えられます。

100mの試合日は気温がものすごく低くて記録が出るような条件ではなかったこともあり12秒13にとどまりましたが、同じ条件で11秒台の記録をもつ選手にも勝ったということで地力はあるんです。本当の力を出すためにはあとは精神的なコンディションに問題がありました。

 

 

 

ボリビアから帰ってきて二者面談を行いました。

記録を出させてあげることがぼくの仕事ではありますが、やはり今彼女に必要なのはいろいろな経験を通して考えることだと思っています。成功体験ではなく失敗体験から学べることがあるということを学ぶことが彼女にとって必要。

力はある。でもどうしたら試合で100%を出せるか。これは練習だけの問題ではありません。準備や精神的な問題があります。

では精神的な問題、メンタルはどうやったら強くできるか。これは競技外のことも大切になってきます。彼女は強くなりたいという気持ちが強いですが柔軟性にかけます。だからこそいろいろな経験を通してこれでもいいんだという柔軟性を身につけること、そしていろいろな経験から得られる競技力を向上させるための本質を理解する必要があります。これを理解できたら再現力があるのでいつでも記録が出ます。まずはその土台が必要なのです。

まぐれの一発屋で終わりたいのか、それとも南米で上位に入るような強い選手になりたいのか。彼女の思いは強い選手になることです。

だからこそ、ぼく自身も目先の結果にこだわるよりも長期的な視点に立って今必要なことに取り組んでいます。それが今回は「失敗体験」。南米大会終了後に彼女が「ボリビアで試合をしたい」と言っていましたが正直反対でした。なぜならその時点で足に強い違和感があってボリビアまでいい練習ができないと思っていたからです。でも彼女にとっては「記録を出すためには万全な状態で準備をする必要がある」ということを理解してもらうのに必要だと思いました。だから「出場してごらん」と言いました。

ここで止めるのもよかったかもしれません。でもぼくは経験を優先させました。

正直この経験が今シーズンの後半にどのように影響するかわかりません。でもボリビアが終わってから彼女に丁寧に話をして彼女は理解した様子でした。

試合の条件次第ですが、また這い上がってくれると思っています。

 

 

まずはまた競技場に戻りたいという気持ちを戻すこと、そして心身のバランスを整えることを優先していきます。

実家への帰省でいいリフレッシュをしてくれればと思います。

 

2017年9月から南米パラグアイで青年海外協力隊の陸上競技隊員として活動中。大学ではスポーツを専攻。日本でコーチング後、パラグアイでナショナルレベルまでの選手の育成強化・競技の普及活動、及び小学校体育教育を行っている。
趣味はカメラとトレーニング。ブログとSNSの更新頻度は多め。

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ABOUTこの記事をかいた人

2017年9月から南米パラグアイで青年海外協力隊の陸上競技隊員として活動中。大学ではスポーツを専攻。日本でコーチング後、パラグアイでナショナルレベルまでの選手の育成強化・競技の普及活動、及び小学校体育教育を行っている。 趣味はカメラとトレーニング。ブログとSNSの更新頻度は多め。