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首都に上がってきている関係でバドミントン隊員の練習を見学させてもらうことができました。
他種目だけど、ぼくは他種目でも陸上競技に何か活かせるのではないかと思っていたんです。
「もっとカウンターパートには陸上競技以外の種目からもヒントを得る、考えられるようになってほしい」
そう思って、ぼくが得たものをカウンターパートに落とし込もうという狙いがありました。

首都にあるナショナルの施設で練習している。
ということで、実際に現場に入って肌で感じることで、パラグアイのバドミントンがどのようなものか、そしてボランティアがどのように活動しているのかを紹介します!
1.パラグアイのバドミントンの問題
指導者の問題
パラグアイのバドミントン連盟は歴史が新しいので、
- 指導者はいるが競技経験がない
- 競技経験がないから、指導法は本などから得ている
- 実演できるが選手よりも下手で弱い
という問題を抱えているそうです。
要請には競技の普及という内容も含まれていたそうですが、上記の理由から、
「この子に教えてくれ!」
という感じで上から言われているので、マンパワーで教えなければならない状況に。
- 指導者は競技経験がないから指導のために知識を得ているが、競技経験がないから感覚的なことは伝えられない。
- 細かい技術を伝えることができない
- 指導が「方法論」のみになっている。
⇒「これをやれ」で終わる感じ。
なので、同僚が来た時はボランティアはサポートになるけど、同僚が練習に来ないときは練習の負荷を強めたり技術的なことを教えるようです。
競技レベルを高めるためにはどうしても技術も、練習の負荷も必要。
どうしてもパラグアイ人同士だと練習が緩くなってしまうということなので、そこはぼくが活動している陸上競技の環境と同じだと思いました。
だから同僚がいない時は、しっかり練習する。成果を出すことに徹する。
本当に大切なことです。
確かに今の同僚に対して技術指導をして長期的によい指導を続けさせるような活動形態も必要だと思いますが、
現役の選手に対して教え込んで、その選手が指導者になった時に正しい技術を教えられるようにする、そんな形でもいいと思うのです。
事実、今回見学していたタイミングでは同僚がおらず、ボランティアが選手たちを見ていましたが、
いま目の前にいる選手に向き合ってその選手を強くする、その姿勢ってすごく重要だなと。
道具・環境の問題
ほかにもこんな問題もあります。
練習でも本番でも、パラグアイで使うシャトルはプラスチック

プラスチックのシャトル。中には羽が壊れているものも。
パラグアイではバドミントンはそれほど盛んではないから、日本で売られている道具を簡単に買うことができない。
そして選手も少ないから公式の試合でもプラスチックのシャトル。
なので国際試合と練習で感覚的に全然違うのかなと思いました。
本番さながらの練習ができないのです。
パラグアイでは簡単に道具が手に入らないからこそ、こういう競技道具というのはしっかりと管理して大切に扱わなければなりません。
雑に扱って壊して、さぁボランティアが来たからもらおう。
そんな状況だといつまでたっても練習道具に困り続けるし、いつまでたってもボランティアに依存し続けるという問題が生じてしまう。

日本から寄付されたものか分からないが、練習場にあった道具。

シャフトもあった。
日本でいらなくなった練習道具を集めてそれを発展途上国に寄付するというのもボランティアの形かもしれませんが、
それが当たり前のように捉えられてしまうようであれば、ボランティアの「自助努力の促進」という目的から遠ざかってしまう可能性もあります。
実際ぼくの任地でも、日本から寄付してもらった練習道具を雑に扱っている感じがすごく気になります。
そして、ぼくもやはり「ものを買うぞ、くれ」みたいなことがあります。
道具の管理は競技意識に反映されると思うので、競技と同時に練習道具の扱い方に関してもアプローチする必要があります。
お金の問題
更にはこんな問題も。
以前は無料だったが、有料になった
無料だった頃は練習に来る人もそこそこいたそうですが、有料になってから練習に来る選手が減ったそうです。
これについては施設を管理する側がどのような理由で有料にしたのかわからないので何とも言えないのですが、有料にしたことでこれから先も練習する選手が少なくなるようであれば残念です。
バドミントンに関して言えば、普段は2人、4人練習に来ればいいかな、ということでした。
ちなみにぼくの任地の陸上クラブは無料で運営されているのですが、無料である分、練習に行っても行かなくてもいいかなと思っている人が多いのではないかなと思っています。
有料にすることで指導者の生活が潤う、職業として成立するのであれば、個人的には有料運営というのは必要なことだと思っています。
2.パラグアイのバドミントンはどのような練習をしているのか?
バドミントンの選手たちは3時間の練習を休息も挟みつつ、リラックスするときはリラックスして、やるときはやる、レベルは低いのかもしれませんがメリハリのある練習ができていたんです。
対してぼくの任地は、
・実質1時間の練習
・いつ選手が来るかもわからない
・基本練習したくないきつい。
— 大村康太@自己ベスト更新の先生 (@KotaOhmura) March 1, 2018
~見学した時の練習の流れ~
- 10-15分 ランニング
- ストレッチ(パラグアイはストレッチする習慣がない)
※ストレッチは時間をかけてゆっくり、コミュニケーションをとりながら一緒にやる種目もある- 四股の姿勢で体を揺らす動的ストレッチ
- スタビライゼーション(*ノーマル45秒x3)
- 横スタビライゼーション
- スタビライゼーションの姿勢から立ち上がり
- 休憩15分
- 打ち込み(各種技術の確認)
- 休憩
- 打ち込み(より実践に近い練習)
- 終了
バドミントン用語を知らないので間違いもあるかもしれませんが、大まかにこのような流れで練習していました。
この内容で練習時間は3時間程度です。

人が少なくてもボランティアと真面目に練習していた。
個人的にすごいと思ったのは「時間通りに練習を開始する」という点。
パラグアイの人は時間を守りません。例外的に時間を守る人もいますが。
中には時間前に来て自分でランニングをしている選手もいるようです。
やはりその選手、親もモチベーションのようなものが高いということで、ぼくの任地とは逆。
ぼくの任地の選手は自分から始めることはないし、さらに時間を守ることもない。
指示を出されるまで動かないので、指示を出さない限り練習にもならない、そんな状況。
競技種目の違いなのか、それとも首都と田舎という場所の違いなのか、それはわかりませんが、同じ国なのにこんなにも違うのだなと思いました。

バドミントンのコートは全部で3面。
技術的な面では、
- 集中力がない
- 指導してもすぐに忘れてしまう
- 体が硬いから可動域が狭い
- シャトルを打つときの手首の使い方
に問題があるということをボランティアの方が言っていました。
日本では良くも悪くもストレッチをしっかりしますが、パラグアイの選手たちはストレッチをする習慣がない。
だから本当に体が硬い。
そしてなにより問題なのが、
できることしかしない
という点。ぼくの任地の陸上クラブでも同じ問題があります。
練習はそもそもできないことをできるようにするためにやるものです。
陸上選手もそうですが、パラグアイの人たちはできることはやろうとしますが、できないことはやらないかすぐに諦めてやめてしまいます。
そしてできることといっても技術的にはまだまだだし、なんかかっこよくやろうとする。
基本なんて無視。やれればそれでいい。そんな感じ。
実際ぼくが練習を見ていても、なんとなく打ち返せないシャトルに関しては諦めている場面が何度かありました。
それを拾うための練習なんじゃない?と個人的には思ったのですが。。
練習を通して、陸上競技とバドミントンは競技種目は違えど、本質的に抱えている問題は同じだなと思いました。
3.ぼくの活動には足りなかった大切なこと
ぼくの活動にはない大切なことを見つけました。
楽しそう
これです。
もちろん状況は違いますが、バドミントンの環境は個人的にはいい雰囲気だったし、なにより選手が楽しそうに練習していたのが印象に残っています。
ぼくの任地にはそれがありません。
難しいんです。個人種目だし、普段はいつも1人2人。
練習時間に余裕がないからどうしても詰め込み練習になってしまう。
短い練習時間だからゲーム的な練習を入れることができない。
ぼくが十分にコミュニケーションを取れる能力がないのも原因の一つですが、なんか楽しい感じの練習じゃないんですよね。ぼくの活動は。
そのへん、バドミントンのボランティア隊員さんはすごくコミュニケーションのとり方がうまいなと思ったし、それでいて練習するときはしっかり切り替えられるようにしていました。
練習は練習。休憩は休憩。
そういうメリハリがしっかりしていたからこそ、練習が楽しいのかなと思いました。
すごく見習うべきところ、勉強になりました。
今回の他職種見学でたくさんのヒントを得たので、それをまずは自分で吟味して、必要なところはカウンターパートに落とし込もうと思います。
見学のお願いを快く引き受けてくれた隊員さんに感謝です。
これからも他職種の見学をしていこうと思います。

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