こんにちは!大村康太(@KotaOhmura)です!
2017年の陸上競技高校総体が5月25日から4日間にわたって開催されます。
高校総体は高校生にとって一番大切な大会になります。競技力関係なく、自分の最大限のパフォーマンスを発揮したい大会。
特に高校3年生にとっては、これが集大成。中にはここで陸上競技を引退する人もいます。というかほとんどの人が大学生になっても陸上競技をしないので本当にラストゲーム。
大村がコーチになってまもなく1ヶ月が経ちます。
ぼくが青森県高校総体のために教え子たちに行ったコーチング方法を紹介します。
- コーチングに興味がある人
- 技術指導以外に選手を引き出す方法を知りたい人
目次
高校総体でベストパフォーマンスを発揮するためのコーチング
大村は高校総体の1か月前からコーチとして母校八戸高校の陸上競技部のコーチを勤めています。
生徒たちにとっても1か月前からいきなりわけのわからない若造がコーチになったという知らせには、少し驚いたのかなと思います。
普通なら1か月前から外部コーチが付くなんてありえません。なぜなら部の雰囲気や環境をできるだけそのままにして高校総体を迎えたいから。
だけど大村は依頼されたコーチ業という仕事を引き受けた身。短期間であろうとなんであろうと、結果を出すのがぼくの仕事です。結果を出すのに時間のなさを言い訳にはできません。
初めてのコーチ活動ですが、ぼくはプロフェッショナル精神を持って活動しています。
学年関係なく、教え子たちが最大限のパフォーマンスを発揮できるようにコーチングを1ヶ月ほど続けてきました。その中で特に大切にしてきたのは、以下の5つの項目です。
- 「どう思った?」で選手を引き出す
- 褒める
- リラックスする習慣を身につけさせる
- 自分たちはできるという自信を持たせる
- とにかく声をかける
1.「どう思った?」で選手を引き出す
教えてるのはぼくじゃない。ときどき現れる地域のおじちゃん。
まず、ぼくがコーチに就任した最初の頃は、言葉かけをしても反応が曖昧で微妙でした(笑)
ぼくが外部からいきなり来た人だからというのもあるかもしませんが、ある運動をした時の彼らの主観と客観的な視点が一致できるようにしたいと思いました。彼らの主観を肯定できる環境を作れば勝手に高みを目指して努力すると思ったからです。



みたいなやり取り。
ぼくの「どうだった?」という問いかけに対して、多くの子がタイムが良かったか悪かったか、つまり結果の視点でしか話ができない人が多かったのです。
そもそも走ってスピードが出ているか出ていないかなんて客観的に見た周りの人間しかわからないんだけどな~、と思いつつ、結果しか伝えてこなかった人にはひたすら「なぜ??」をくり返し聞きました。






こんな感じで、「なぜ?」や「どうするの?」「どうしたいの?」と聞くと、面白いことに彼らが内に秘めているものが引き出されてくる。ちゃんと考えてるんですね。
教え子たちは決して結果に一喜一憂しているのではなく、問題を洗い出せていないだけなんですよね。
こういう場合はコーチから引き出してあげれば、自分の課題に向かって勝手に取り組んでくれるので練習の質がどんどん向上してきます。
さらに、こういう問いかけを繰り返していると、今度は教え子たちから聞きに来るようになります。
教え子たちから聞きに来るということは、運動中の主観とコーチから見た客観的視点をすり合わせることができる。なので、ぼくがよかったと言えば、彼らの主観が肯定されることになるのでどんどん自信がついてきます。
どんどん自分の思い描いたなりたい自分になっていくので自信がつく。練習が楽しくなる。
問いかけは、別に技術的なことをとやかく言わなくても、教え子たちは既に課題を持っているんです。それを引き出しまくる、というのを重点的にやってきました。
1ヶ月間で多くの教え子が、自分の考えを表現できるようになりました。
2.褒める
悪かったところはもちろん良くなかったと伝えていますが、ぼくはとにかく褒めまくりました。
正直、技術に関してはまだまだ言いたいことが山ほどある状態です。ただ、ぼくがコーチに就任してから高校総体までの1ヶ月の間で技術を改造することは正直難しい。
技術を一から作り直してしまうと、動きに迷いが生じてしまう。それはいくらいい動きが出来ていたとしてもまぐれ的な要素が大きくて、最大限のパフォーマンスを発揮するための「自信」を育てることができません。
褒めることで、彼らの自信を育てたのです。



みたいなやりとりですね~
ポイントは、彼らの具体的な発言に対して褒めている点です。彼らの発言の前にいきなり褒めるのではなく。
具体的な発言の中には、彼らが問題視していた点、意識した点が含まれています。それを肯定することによって、確実に彼ら自身が設定した課題を乗り越えたという感覚を覚えさせることができます。
『1.「どう思った?」で選手を引き出す』と通ずるところがありますが、結果はあくまでも過程ありきの結果です。だからこそ、過程を褒めることで、やってきたことに対して自信を持てるようになっていく。
意識した過程や取り組みって、その人自身なんですよ。取り組んできた過程を肯定されるということは、その人自身が肯定されるということ。人は他者からの承認欲求があります。それを満たしてあげるんです。
1ヶ月の取り組みの中での変化として感じたことは、自分たちで調子が悪い時などは自信を持ってメニューを変更したり切り上げたりできるようになった点。
自分を肯定できるようになってきたので、やること一つ一つに不安を感じることも少なくなってきたと感じています。
3.リラックスする習慣を身につけさせる
進学校らしく√4。√が短いですね。。。 0点。
もう、とにかくガチガチだったんです。顔が(笑)
動きも自分で力を出さなければスピードが出ないという感覚が染み付いていて、無駄な力を多く使っているなと感じました。過去のぼくを見ているようでつらかった~(笑)
ということで、とにかくリラックスするように指導をしました。
これはかなり手応えがあって、1か月前はガチガチで不調だった教え子が見違えるくらいリラックスした走りができるようになりました。調子が上がらなくて不安だったらしいのですが、今では自信がみなぎっていてとても頼もしい状態。
日本ではとにかく根性論といいますか、頑張ることが美徳とされているといいますか、「陸上だから走れ!動け!」みたいな感じなんですよね。
そうじゃないんだよなぁ。本当に大切なのは苦しさを感じることでもなければ頑張れば報われると思うことでもない。
スポーツは苦しんでやるものではありません。楽しいからやるんです。
リラックスすることは、スポーツの苦しい面から開放してくれます。苦しい面から解放されてもリラックスして結果が出れば楽しくなります。
リラックスすることで、陸上競技はこんなに楽しいんだという気持ちを持てるようにコーチングしてるんですね、ぼくは。
4.自分たちはできるという自信を持たせる
今度は4が小さくなりました。 左下の彼の身長が高いからアンバランスに!!!!
進学校だからか何なのかわかりませんが、ものすごく謙虚なんです、教え子たち。
謙虚なことって確かにいいことです。だけど、勝負の世界には謙虚さって邪魔なんです。
ボクシングでいくら心技体充実した選手であっても、謙虚すぎればタコ殴りにあって負けます。それは勝負事で謙虚であると、気持ちが守りに入ってしまうからです。守りに入ると攻撃に100%を出せない。
変に謙遜してしまう。無意識に力を出せなくなるんです。
去年まで県大会レベルで活躍していた選手はほとんどいなかったんです。となると、どうしても県の決勝レベルで戦ってしまう人を崇めてしまうんですよ。まるで他人事のように。
それがチーム全体の雰囲気を作っていたら恐ろしい。とてもじゃないけど戦える集団ではなくなってしまう。
自信をつけてもらうために、勝負するときの謙虚さを排除する必要がありました。
ぼくが取り組んだのは、以下の3点。
- 毎日何があっても続けることシート
- 走ったタイムとそのタイムはどのくらいのレベルで戦えるかを伝える
- 褒めまくる
1は後ほど記事にしますが、これは効果絶大。完全に教え子たちにやるかやらないか任せていますが、やっている人は相当な自信がつくはず。
恐らくこれでインターハイ出場できるくらいまでは育てることができます。
2は、いいタイムが出たらそのタイムのレベルを伝えることでそのレベルで戦えるというのを意識に刷り込ませるために行っています。
いい走りやいいタイムだったらとにかく伝える。これだったら行けるぞ!と伝える。繰り返せばどんどん自信がついていきます。
3は「1-2.褒める」でも書きましたが、褒めることで「できなかったことができるようになる」というループを繰り返して再現性を高める狙いがあります。
できないことができるようになると自信付きますよね?その再現力が高ければ尚更「どんと来い!」みたいな貫禄も出てくるんです。
800m選手なんかは昨年まで県大会で入賞もできないレベルでした。だけど今、とにかく自信をつけてもらったことで明らかに1か月前よりも貫禄が出てきました。
高総体では1位2位、東北大会でもどちらもインターハイに出場できるレベルまで意識が高まってきました。まだまだ引き出せる余地があるので、とにかく「勝負師」のような絶対的な自信を育てていきます。
5.とにかく声をかける
ぼくが最大限に努力したところは「とにかく声をかける」という点です。
コミュニケーションをとってお互いを知らなければ信頼関係を築くことができません。コーチ就任まもないぼくが最も頑張るべきところでした。
ぼくは残念ですがあまりコミュニケーションをとることがうまいとは思いません。コミュニケーションをとること自体は好きなんですけどねぇ~
年齢が離れているので当然ですが高校生は年上に話しにくい。だから、そういう壁をぶっ壊してとにかく対等な関係づくりを目指しました。
対等であればあるほど相手を引き出すことができます。友達に改まって話すことってないですよね?ラフに言いたいことを話せるはずです。
ぼくも究極的に言えばそういうラフな関係作りをしてきました。
コミュニケーションが下手なのでまだまだですが、かなり選手とコーチの間のいい関係づくりができたと思います。
バランスが良くなったと思いきや、なぜか4の縦棒で足を伸ばさない。もう√4にこだわらないで「2」でいいんじゃないかと思った。
- 「どう思った?」で選手を引き出す
- 褒める
- リラックスする習慣を身につけさせる
- 自分たちはできるという自信を持たせる
- とにかく声をかける
5つのことを自分なりにうまくやってきました。
ぼくはコーチングに関しては正解不正解はないと思っています。
ぼくが自分自身のコーチングに自信があれば結果は出ると思っています。そして、ぼくは自分のコーチングに自信を持っている。
もう高校総体までやることはありません。ぼくが必要だと思ったことは全部やりました。
どうなるか超楽しみです!
ちなみに高総体前最後の土日は陸上競技場での練習でした。
800m選手2人はかなりたくさん走ったあとの最後の300mのガチンコレースは35秒半ば。
これは陸上やってる人だとわかると思いますが、相当なタイムです。明らかに彼ら自身に自信がついてきているのがわかります。言動も随分たくましくなりました。
去年はどちらも県大会決勝に進んでいない選手。大化けの予感。。。
400m選手2人も300mの測定で35秒切り。いい感じです。
あとは県大会で少しでもいい順位と自己ベストで自信をつけてもらいましょう!
800m選手2人と400m選手2人でマイルを組んでいるので、相当面白いです。インターハイを狙えるレベルです。
春先は全然そういう雰囲気がなかったのですが、試合と練習の中でうまくコーチングできているので、彼らの中でインターハイを狙える雰囲気ができてきました。楽しみすぎて大村が死にそうなくらい(笑)
その他の選手も自己ベスト連発。

なんて言われそうですが、全く調整していません。
ぼくはメンタルのところだけいじっているので、その効果ですね。メニューに関しては一切手をつけていません。
正直練習はしすぎだと思います(笑)。ただ、それで彼らに自信がついているのでいじる必要もないと思っています。
何より練習量をいじってないということは、それだけもっとコンディショニングの面での伸び代があるということです。コンディショニングをばっちりできたら4x100mリレーもインターハイを狙えます。
あとはちょっと話が飛びますが、「高校総体が終わったら幅跳びを教えてくれませんか?」と言ってきてくれました~~~!
嬉しい~~~~~ヽ(・∀・)ノ
彼は正直何を専門種目としているのかわからない選手です(笑)。ほんわかした性格。そんな彼が自分から言ってくれたんです!
今2年生なので、来年インターハイに行けるようにちゃちゃっと指導したいと思います。猛烈に嬉しかったので絶対にインターハイに連れて行きます。
もう嬉しすぎる・・・
そんな感じで、ぼくの超個人的な陸上競技ネタ失礼しました(笑)
高校総体、インカレ、日本選手権と大きな大会が続きます。それぞれが戦う場は違いますが、それぞれがいい大会になりますように!!!
